この記事では、オランダにおける自転車の手に入れ方と使う上で注意すべきことを紹介します。オランダに移住したばかりの方、移住する予定の方は「自転車は必要だけど、どうやって入手するのがいいんだろう」と思ったりしますよね。購入orレンタル、新品or中古品のそれぞれのメリットとデメリット、そして入手方法を知ることで、自分にピッタリの自転車を見つけることができます。
オランダは自転車社会と言うくらいに日々の生活の中に自転車が浸透しています。学校に行く時も、買い物に行く時も、遊びに行く時も、オランダに住んでいる人はみんな移動に自転車を使っています。道路にはしっかりとした自転車専用レーンと自転車専用の信号機まであり、また街中の至ることろに駐輪場があります。オランダは天候が変わりやすく、雨が降りやすいことでも有名ですが、オランダに住んでいる人はたくましいです。嵐でも来て土砂降りの雨でもない限り、雨の中でも自転車をこいで目的地まで移動しています。そんなこともあり、雨が降っていても傘を差している人が意外と少なかったりします。
なぜこんなにオランダで自転車が市民権を得ているかというと、それはやはり利便性の面が大きいと思います。アムステルダムやロッテルダムのような大都市ではトラムや地下鉄もあるのですが、日本の地下鉄ほど頻繁に運行している訳でもなく、都市の隅々まで交通網がある訳でもないので、駅の近くなどよほどの好立地でもない限りは自転車の方が便利だったりします。特に私の住んでいるアイントホーフェン市(一応、オランダでは5番目に大きい都市です)のようなトラムも地下鉄もない都市では、自転車がないと生活圏もかなり限られてしまうので自転車は生活必需品です。
自転車の入手方法としては、①新品の自転車を購入する、②中古の自転車を購入する、③自転車レンタルサービスを利用する、の3つの方法があります
①新品の自転車を購入する
日本では最近あまり見かけられなくなった自転車屋さんですが、オランダにはたくさん存在するので自転車はそこで購入することができます。価格は、だいだい€100前後(約12,400円)からになります。中古で買って故障してしまった場合、修理に余分な出費がかかることを考えれば、長い目で見れば新品で購入した方が安上がりかもしれません。
②中古の自転車を購入する
中古の自転車は、街のセカンドハンドショップ(中古品販売店)かFacebookの中古品取引のグループ、また中古品取引専用のウェブサイトから購入できます。品質によって価格は様々ですが、€20(約2,400円)ほどで購入できたという話もちらほら聞くので、とにかく初期投資を安く済ませたいという人にはおすすめかと思います。ただし、安い分故障するリスクも高くなるので、そこは自己責任です。
<<セカンドハンドショップ>>
オランダではたくさんのセカンドハンドショップが存在し、通常のセカンドハンドショップでも中古の自転車を見つけることはできるのですが、おすすめは自転車専用のセカンドハンドショップです。品揃えも豊富で、在庫についてはネットで確認できるお店がほとんどなので、とても利便性が高いです。
<<Facebookの中古品取引グループ>>
中古自転車の取引は、Facebook上のグループページにて頻繁に行われています。あくまで個人間のやり取りなので、品質の確認からピックアップまで当事者とやり取りをする必要はあるのですが、交渉次第では格安で品質の良い中古の自転車を手に入れられたりもします。ちなみに、Facebookのグループページは都市ごとに複数あるようで、グループのメンバーになるのに管理人の許可が必要なグループとそうでないグループがあります。いずれにせよ、なるべく大きなグループに入っておくことをおすすめします。
<<中古品取引の専用HP>>
オランダでは新品を買うよりも中古品を買う風潮があるようで、中古品取引のホームページもかなり賑わっています。生活に必要な食器や家電から、車や家なんてものも出品されていたりします。その中にはもちろん中古の自転車も出品されているので、こちらから購入することもできます。有名なホームページにはMarktplaatsがあります。
③自転車レンタルサービスを利用する
自転車を購入しなくても、自転車をレンタルするという方法もあります。オランダの公共交通機関であるNSでは自転車のレンタルも行っていて、一日あたり€3.85(約500円)で自転車を借りることができます。自転車は持ちたくないけど、必要な時だけ使いたいという人にはいいかと思います。また公共交通機関がやっていることもあって、駅にて自転車を借りることができるという利点もあります。ただし、このサービスを利用するためにはOV-chipカード(日本で言うSUICAのようなもの)と呼ばれる公共交通機関専用のカードが必要になります。自転車は買いたくないけど、持ちたいという方にはSwapfietsのような自転車のレンタルサービスを利用するといいかと思います。Swapfietsならひと月あたり€16.5(約2,000円)、学生なら€14.5(約1,800円)にて自転車がレンタルできるので、NSにて自転車を借りるよりは遥かにお得です。また、故障した場合も1営業日以内に修理してくれたり、盗難された場合も格安で新しい自転車を手配してくれたりとサービスが充実しているところも嬉しいポイントです。
自転車の需要が高い分、それに比例して自転車の盗難は本当に多いです。自転車を盗まれてしまった話はよく耳にしますし、友人の中には鍵をしていたのに盗まれてしまった、、、なんてケースも。だからこそ、日本で見かけるような自転車に予めついている鍵だけでなく、バイクのチェーンのような頑丈なロックをかけておくことをおすすめします。また、駐輪場がいっぱいだったり、駐輪場がない場所にバイクを駐める場合は、木や看板、電柱などにチェーンを括り付けることも欠かせません。
自転車が壊れてしまったら、街中の至るところにある自転車販売店で修理してもらうことが可能です。修理箇所やお店によって違いますが、私が修理した時は自転車のパンク(前輪のみ)で€16(約2,000円)、自転車の回転軸が壊れてその取り替えに€40(約4,900円)かかりました。
日本では気にする方はあまりいないかもしれませんが、自転車の交通量の多いオランダでは必要最低限の交通ルールは知っておいたほうが余計な事故に遭わずに済みます。オランダでは自転車も車と同じ右側通行で、道路にあるオレンジ色の自転車専用レーンを通行します。また、信号機も歩行者専用のものの他に自転車専用のものもあるので、道路を渡る時は信号機の近くにあるボタンを押して信号機が青になるのを待って渡ります。
右折や左折、進路変更のときは、自転車もバイクや車と同じように方向指示を後からくる自転車に伝える必要があるのですが、この方向指示のやり方が少しユニークです。自転車にはバイクや車のような方向指示器をつけたりはしないので、右折や左折をする時には、子供からお年寄りまでハンドルから片手を離して指で進行方向を指し示しています。私もオランダに来た最初の時はびっくりしましたが、慣れてしまうと指差しをしないほうが後ろから追突されないかとヒヤヒヤしてしまうほどです。
今回お話させていただいたように自転車を購入するにも様々な方法とメリット・デメリットがあるので、目的と用途に応じて自転車を入手して、交通ルールと盗難に気をつけながら、快適な自転車ライフを送っていただければと思います。