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デザインアカデミーアイントホーフェンの授業は「まずやってみる!」スタイル

今回はデザインアカデミーアイントホーフェンの学習プロセスである、Experimental Learningについて紹介します。日本の大学の学習スタイルとは大きく異なるため、事前に覚悟しておかないとかなり面食らいます。(笑)Experimental Learningの内容自体はとても簡単なので、知ればすぐに実践することができます。さらに、このExperimental Learningは授業以外の様々な場所で応用することができるので、「自分を成長させたい」と思っている人にはかなりオススメの学習方法です。

Experiential Learningとは?

Experimental Learningとは「経験の省察から学ぶ」学習方法のことで、簡単に言えば「実践を通して身体で学ぶ」学習方法のことです。古くは紀元前350年ごろアリストテレスによって書かれた『ニコマコス倫理学』に、基本的な概念が登場しています。

何かを習得しようと欲するなら、それを実際にやってみるしか道はない。

『ニコマコス倫理学』

このアリストテレスの考え方を受け継いで1970年代にDavid A. Kolbというアメリカの学者がExperimental Learningの理論をまとめ、彼の発表したExperimental Learning Model (ELM) はビジネススクールや企業でのインターンなどでも積極的に取り入れられています。そして、このELMは循環プロセスであり、「経験」「考察」「概念化」「実験」という4つの項目からなります。

  • 経験=何が起きたのか?それに対して自分はどう感じたのか?
  • 考察=どんな要因で、それがそのように起きたのか?
  • 概念化=その出来事から、何を学ぶことができるのか?
  • 実験=改善するために、次のアクションをどうするか?

名前自体は聞いたことがない人もいるかもしれませんが、この学習方法は誰でも知らず知らずのうちに行っているものです。(例えば自転車が乗れるようになるまでのプロセスは、まさにこのExperimental Learningの典型例です。)その無意識に行っている学習方法を意識的に行うことで、効果的に学ぼうというわけです。

いわゆる“先生”ではなく、チューター的な存在

デザインアカデミーアイントホーフェンの授業はExperimental Learningという学習方法なので、先生の役割も普通の学校とは異なります。普通の大学なら

  • 先生=知識を(講義などを通して)生徒に伝える
  • 生徒=先生の話を聞いて学ぶ

というのが典型的な役割で、生徒はどちらかというと受動的です。しかしながら、デザインアカデミーアイントホーフェンでは

  • 先生=生徒が学べるようにサポート
  • 生徒=実践を通して学ぶ

という役割で、生徒は能動的に学ぶことを求められます。このスタイルでは先生だけでなく生徒にも同等の学習の責任があるので、より真剣に学ぶのを促す効果があります。言い換えれば、身になりやすい学習方法と言えるのではないでしょうか。

どれだけ学べるかは自分次第

先生は生徒をサポートするチューター的な役割のため、授業では「先生が最初に詳細にやり方を教えて、その通りに実践する」というスタイルはほとんどありません。課題の内容とざっくりしたやり方を教えてもらった後はひたすらやってみる、というパターンが多いです。

そのため生徒は、どんな結果になるのかイメージ出来ない手探りの状態で、時には戸惑ったり、失敗したり、やり直したりと紆余曲折を経て課題をこなしていくことになります。「教科書通りにやる」とか「お手本通りにやる」といった選択肢が最初から与えられないので、逆に「自分の頭を使って考える」という力が身につきます。先生の方もそれを望んでいるようで、なかには「生徒に聞かれても、あえてやり方を教えない」と宣言する先生もいるほどです。(笑)

やり方を具体的に教えてもらわない分、どれだけでもやり方を工夫することができるので、やればやるほど学ぶことが出来る環境です。それはつまり、言われたことをそのままやる生徒より、不器用でもいろいろ試行錯誤してやっている生徒を評価する先生が多いということです。

Experimental Learningプロセスをスムーズにまわすための質問

Experimental Learningの学習プロセスをスムーズにまわすためには、それぞれの項目について掘り下げる必要があります。そのために役立つ質問集を紹介します。

【経験ーConcrete Experienceー】

  • どんな状況だったのか?
  • その状況で自分は何をすべきだったのか?
  • 実際にどんな行動をとったのか?
  • その行動の結果はどのようなものであったか?

【考察ーReflective Observationー】

  • 何を見たのか?(See)
  • 何をしたのか?(Do)
  • 何を考えたのか?(Think)
  • 何を感じたのか?(Feel)

【概念化ーAbstract Conceptualizationー】

  • 今の自分にそれはどんな意味があるのか?
  • 何が問題だったのか?(もしくは、何が良かったのか?)
  • それは他にどんな影響を及ぼしたのか?

【実験ーActive Experimentationー】

  • 他にどんな方法(改善策)が考えられるか?
  • そのメリットとデメリットは?
  • 次回気をつけなければいけないことは?
  • 何を成し遂げたいのか?(達成したいのか?)
  • 何をしたいのか?

終わりに

今回紹介したExperimental Learningはシンプルな内容だからこそ、繰り返し実践して身につけることが大切です。なにか出来るようになりたいことが出てきた時は、ぜひこの学習方法を繰り返し実践してみて下さいね。

Toshi

都内某私立大学経済学部卒業後、総合家電メーカーの経理部、ホテルのフロントデスク、医療機器ベンチャー企業を経て、2018年9月よりオランダへ渡航し、Design Academy Eindhovenに入学。 現在、同大学のThe Morning Studio学部(Man and Well-Being)に在籍中。

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  • 当ブログ楽しく拝見させていただいています。今春息子がDAEへ入試に向かう際も、当ブログの情報が大変役立ちました!結果はwaiting list扱いだったのですが、先週合格通知が届き、入学手続きに取りかかっている最中です。早速ハウジングで色々とチャレンジを抱えており、個人的にアドバイスをいただければ幸いです。ちなみに息子の友人がTUEに合格し、そちらもハウジングで悪戦苦闘している最中です。インフラ的に一人暮らし用の部屋が足りていないのかな?という印象を受けています。

    • まずは、合格おめでとうございます。また、少しでも当ブログの情報がお役に立てられたようで恐縮です。
      住宅事情についてですが慢性的に不足しており、特にオランダやEU圏以外の学生にとって、きちんと住民登録のできる部屋を探すのは大変なのが現状です。
      (EU圏の学生は居住VISAも私たちと事情が異なっているので、部屋を借りても住民登録せずに住んでいる学生も多いです。)

      ただし、この時期はちょうど卒業で帰国したりする学生が部屋を出て行く時なので、通常より物件が見つけやすい時期です。
      DAEを卒業する学生はFacebookの"Design Academy Student Affairs"というグループで物件を投稿していることが多いので、ぜひ一度チェックしてみるとよろしいかと思います。